
松井咲子『妄想椿』レビュー|大人の静かな強さと余韻が溶け込む一冊
ページを開いた瞬間、ゆっくりと時間が流れ始めるような静けさに包まれました。3冊目の写真集『妄想椿』。元AKB48の松井咲子さんが、自身の言葉で「今までで一番リアルな私」と語った作品です。タイトルに込められた“妄想”という言葉の奥には、表面の可愛さだけでは語りきれない、大人としての意志と覚悟が込められているように感じました。
公式情報によれば、本作は道後温泉・松山を舞台に、着物・浴衣・赤襦袢・ランジェリーなど多彩なカットに挑戦。和室を中心に、日本らしい色気と静けさをまとった世界観が広がります。露出は過去最大とされていますが、その印象は決して過激ではなく、むしろ丁寧で、美しい余韻のような温度を感じました。
見どころ①:和室を舞台にした“余白と静寂の美”
着物姿で構成されたカットは、本作を象徴する魅力のひとつです。光と影のバランスが繊細で、語らなくても伝わってくる静けさがあります。照明を抑えた柔らかな空間の中で、視線の先にある思いを受け止めるような雰囲気。ページをめくる手が自然とゆっくりになる感覚がありました。
濃いグリーンのランジェリーや赤の襦袢がちらりと見える瞬間は、ただ露出を見せるためではなく、“心の温度を伝えるための演出”のように感じられます。写真集のテーマである“妄想”を、読者が自分の中で自然に完成させられる余白の美しさがありました。
見どころ②:浴衣や入浴シーンが見せる素直さと柔らかさ
和室の静寂とは違い、浴衣や入浴シーンでは空気がふっと軽くなる瞬間があります。
視線をやや外し、少し恥ずかしそうに見える表情。
その柔らかさは、飾らない人柄そのものが滲み出ているようでした。
大胆な黒ランジェリーやTバックのシーンも登場しますが、直接的な“挑発”ではなく、凛とした女性としての強さを感じさせます。刺激的な見せ方ではなく、あくまで美しさを丁寧に描く姿勢が心地よいです。
見どころ③:旅先の空気まで閉じ込めたロケーション
道後温泉の歴史を感じさせる空間や、風をまとった海辺のカットは、まるで小さな旅をしているような気持ちにさせてくれます。赤いワンピースで足湯に浸かるシーンや、白いワンピースで海を眺める横顔は、言葉よりも強く感情を届けてくれました。
特定の場面を断定する必要はありませんが、ページ全体に漂う“静かな余韻”が、作品全体を美しくまとめています。
この写真集は、見た瞬間の衝撃よりも、“見終わった後に心に残る温度”で勝負している印象です。
こんな人におすすめ
■ 大人のグラビア作品を落ち着いた気持ちで楽しみたい人
■ 過去作との差を感じたい人
■ 余白の美しさや世界観に浸りたい人
■ 旅先の空気感のある作品が好きな人
まとめ|胸の奥に静かに残る写真集
挑戦と美しさ。
その2つが矛盾せずに同居している作品でした。
過去最大露出と聞くと刺激的な印象を持つかもしれませんが、ページを閉じると心に残るのは“不思議な静けさ”。成熟した女性としての覚悟と、素直な表情の両方が丁寧に詰まっています。
読み終えたあと、少しだけ深呼吸したくなるような、余韻が残り続ける一冊です。
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大人として積み重ねてきた時間と覚悟が、静かな温度で胸に届く作品です。
ただ美しさを見るだけでなく、自分の中の弱さや強さと向き合うきっかけをくれます。
落ち着いた夜に一人で開けば、そっと背中を押される感覚があります。
今の自分に触れる一冊として、手元に置く価値があります。

























