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幻の超巨大爆撃機「富嶽」・・・もし完成していたら日本の戦略は変わっていたのか?

幻の超大型爆撃機「富嶽」──日本航空技術が到達しようとした“究極の頂”

大東亜戦争末期、日本には「世界最大級の戦略爆撃機」を実現しようという壮大な計画が存在しました。中島飛行機が構想した 中島G10N “富嶽(ふがく)”。その名の通り“富士山のように巨大で雄大な存在”を目指した、幻の超大型爆撃機です。

富嶽はついに完成することなく、図面と部分試作に終わりました。しかし、残された資料をたどるほどに、この機体がどれほど日本の技術者たちの夢と情熱を背負っていたのかが分かります。

この記事では「技術」「歴史背景」「ロマン」の3つの視点から、富嶽の全貌に迫ります。現代の我々から見ても驚嘆せざるを得ない、そのスケールの大きさを感じていただけるでしょう。



富嶽(上):幻の超大型米本土爆撃機

富嶽が目指した姿──“日本からアメリカ本土を往復する爆撃機”

富嶽の最大の目的は、日本本土からアメリカ本土を無着陸で往復し、爆撃・偵察を行うこと。これは当時の航空技術から見れば、まさに常識外れの挑戦でした。

計画仕様は以下の通りです。

・全長:約45m 全幅:約65m(B-29より大きい)

・航続距離:約19,000km

・用途:長距離戦略爆撃、偵察 ・動力:36気筒

・空冷二重星型エンジン(中島HA-54)

全幅65mという数字を見ただけでも、その巨大さが伝わってきます。比較としてB-2943m富嶽がいかに規格外の機体であったか、数字が雄弁に物語っています。

“36気筒・5000馬力”という狂気のエンジン──技術者たちの執念

富嶽の心臓部となる予定だったのが、中島製「HA-54」(海軍呼称:A.X24) とされるエンジンです。

・36気筒 ・空冷

・排気量85L級

・公称出力5,000馬力(計画)

36気筒とは、18気筒エンジンを“背中合わせ”にした超複雑構造。これは常識では考えられない設計で、現代のエンジニアが見ても「よくこれを本気で作ろうとしたな」と驚くレベルです。

実際には、試作段階にまでは到達し、回転試験も行われました。しかし戦況悪化と資源不足のため、完成には至りませんでした。

それでも、当時の資料や試作写真を眺めていると、日本の航空技術者たちが“限界のその先”を目指していたことが強く伝わってきます。富嶽には「国としての意地」「技術者の誇り」「未来への願い」――それらすべてが込められていたのです。

もし富嶽が完成していたら──叶わなかった歴史の“IF”


富嶽ほど、「もし完成していたら・・・・」という想像が尽きない軍用機はありません。

たとえば、もし開発着手がもっと早く──真珠湾攻撃以前、あるいは直後の段階で始まっていたら。 「アメリカ本土空襲」を前提とした戦略体系が整っていたら。 エンジンの開発が、あと半年でも早く進んでいたら。

もちろん、戦争の帰趨は航空機一つで変わるほど単純ではありません。しかし、富嶽の存在が戦略的な“視野”を拡張し、日本の航空思想を大きく押し上げたことは間違いありません。

だからこそ、敗戦の日である8月15日が訪れるたび、私は強く思うのです。

富嶽が空を飛ぶ姿を、この目で見たかった」と。

(年代的に生まれてもいないので見えれないんですけどね・・・)

富嶽は敗戦という現実に飲み込まれ、紙の上にしか存在しない。しかし、その図面の一本一本には、日本の技術者たちが込めた“未来への希望”が確かに宿っています。

富嶽は本当に“幻”だったのか──現代から見える新しい価値

今日、富嶽は「未完の怪物」「幻の爆撃機」と呼ばれています。実機が完成しなかった以上、ある意味ではその通りでしょう。

しかし、技術史として見ると、富嶽は“幻”ではありません。 むしろ「日本が世界の最先端を目指した証拠」 として、確かな価値を持ちます。

・空冷で36気筒という驚異のエンジン設計

・本土から本土へ、無着陸往復の戦略思想

・B-29すら超える巨大主翼

・戦争末期でも挑戦を止めなかった技術者の情熱

富嶽には、失われたかもしれない技術の可能性が凝縮されています。 だからこそ今、多くの航空ファンが富嶽に惹かれ続けているのです。

完成しなかったからこそ、美しい。

幻だったからこそ、人の心を掴んで離さない。

富嶽とは、そんな“永遠のロマン”を背負った存在なのです。

まとめ──富嶽は「敗れた夢」ではなく「語り継ぐべき挑戦」

富嶽という計画は、日本が最も苦しい時代に、それでも未来を諦めなかった人々の努力の結晶です。巨大で無謀に見える計画に挑んだ技術者たちの姿勢は、今の我々にさえ勇気を与えます。

幻の戦略爆撃機富嶽」。 その物語は、決して過去の遺物ではありません。

これは、挑戦することの尊さ、技術への愛、そして日本のものづくり精神を象徴する“永遠の象徴”なのです。


富嶽(上):幻の超大型米本土爆撃機

富嶽(下):幻の超大型米本土爆撃機

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