
長年第一線で活躍してきたアーティストが、節目の年にどのような表現を選ぶのか。その問いに、静かでありながら確かな答えを示しているのが、後藤真希デビュー25周年記念写真集「flos」です。
話題作「ramus」から3年。時間の経過は彼女から勢いを奪うどころか、むしろ表現の幅と奥行きを与えました。本作は「よりナチュラルに、より大胆に」という言葉を、単なるキャッチコピーで終わらせない一冊です。
後藤真希 写真集「flos」が示す“成熟”という進化
本作の最大の特徴は、「成熟」を無理に主張しない点にあります。大人になった、色気が増した、という単純な言葉では片付けられない、自然体の延長線上にある美しさが全編を貫いています。
前作「ramus」が“芽吹き”や“始まり”を感じさせる作品だったとすれば、「flos」はその名の通り“花が開く瞬間”を捉えた写真集です。作り込まれたポーズよりも、呼吸や間を感じさせるカットが多く、見る側に余白を残します。
ページをめくるたびに感じるのは、「見せている」というより「そこにいる」という感覚。カメラの存在すら忘れたかのような表情が、写真集全体に穏やかな説得力を与えています。
山形と済州島、対照的なロケーションが生む奥行き
撮影地として選ばれたのは、冬の山形と夏の韓国・済州島。この対照的な二つの土地が、写真集に豊かなリズムをもたらしています。
山形編では、雪景色の中で見せる無邪気な表情や、温泉での柔らかな微笑みが印象的です。冷たい空気と温もりの対比が、彼女の表情をより立体的に浮かび上がらせています。
朝の光の中、浴衣姿でこちらを見つめるカットには、作為を感じさせない生活の匂いがあり、見る側の記憶と静かに重なります。派手さはありませんが、長く心に残るシーンです。
一方、済州島編では空気が一変します。海辺、ベッドルーム、夜のプールといったシチュエーションの中で、より解放的な表情が切り取られています。
ヌーディーでありながら決して過剰にならないのは、被写体と撮影チームの信頼関係があってこそ。大胆なカットであっても、どこか清涼感が残る点が、この写真集の大きな魅力です。
「ゴマキボディ」が持つ説得力と女性ファンの視点
本作が多くの女性ファンにも支持されている理由は、単なるスタイルの良さではありません。しっとりとした肌感、艶やかな表情、そのすべてが「自分自身を受け入れている」ように映るからです。
無理に若さを演出せず、かといって年齢を強調しすぎることもない。そのバランス感覚が、同世代の女性だけでなく、幅広い層に共感を呼んでいます。
「ゴマキボディ」という言葉が象徴するのは、鍛え上げた肉体というより、心と体の調和です。ページを通して感じられるのは、自己肯定感の高さと、肩の力が抜けた美しさです。
144ページに詰め込まれた“一緒に旅をする感覚”
144ページというボリュームも、本作の満足度を高めています。単に写真点数が多いだけでなく、流れを意識した構成が、読み手を自然と旅へと誘います。
ロケーションの移り変わり、時間帯の変化、表情のグラデーション。それらが丁寧につながっているため、途中で集中が途切れにくく、最後まで一気に見たくなる構成です。
まるで同じ時間を共有しているかのような感覚は、写真集として非常に完成度が高い証拠と言えるでしょう。記念作品でありながら、観賞用としてもしっかり成立しています。
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まとめ
後藤真希写真集「flos」は、25周年という節目にふさわしい、完成度の高い一冊です。ナチュラルさと大胆さ、その両立が無理なく実現されており、時間をかけて育まれた表現力を感じさせます。
前作「ramus」を楽しんだ人はもちろん、久しぶりに写真集を手に取る人にとっても、新鮮な驚きがあるはずです。今の後藤真希だからこそ生まれた、永久保存版と呼ぶにふさわしい作品と言えるでしょう。
記念イヤーの一冊として、そして純粋に“良い写真集”として、長く手元に置いておきたくなる写真集です。

























