
大好きな作家、そして国際ジャーナリストである落合信彦さんの訃報に接したとき、正直なところ、言葉を失いました。
2026年2月1日午前8時8分、老衰のため東京都内の病院で逝去。84歳。数字だけを見れば決して早すぎる死ではないのかもしれません。しかし、私にとって、そして同時代を生きてきた多くの読者にとって、落合信彦という存在は「まだ語り続けてほしかった人」であり、「常に世界を読み解く視点を提示し続けてくれる人」でした。
その喪失感は、単なる一人の作家の死を超え、ひとつの時代が静かに幕を下ろしたことを意味しているように感じます。
世界を疑う視点を与えてくれた作家・落合信彦
落合信彦さんを語るうえで、まず触れなければならないのは、その圧倒的な視点の鋭さです。
国際情勢、陰謀論、政治、宗教、メディア、権力構造。彼の著作は常に「表に出ている情報」を鵜呑みにすることの危うさを、読者に突きつけてきました。
それは決して扇動的なだけの文章ではありません。膨大な取材経験と、海外での実体験、そして何より「疑うことを恐れない姿勢」によって裏打ちされた言葉でした。
私自身、若い頃に彼の著作を読んだとき、世界が一気に立体的に見えた感覚を今でも覚えています。ニュースの裏側、報道されない構図、国家と国家の駆け引き。そのすべてが、単なる陰謀話ではなく「現実として存在しうるもの」として理解できるようになったのです。
「知ること」は楽ではない、それでも目を背けるな
落合信彦さんの文章は、決して読み手を甘やかしません。
世界は単純ではない。善と悪が明確に分かれているわけでもない。正義を語る者ほど、裏で何をしているのか分からない。そうした現実を、容赦なく突きつけてきます。
だからこそ、彼の本は読み終えたあとに、少し疲れるのです。しかし、その疲労感こそが「考えた証」であり、「思考を放棄しなかった証拠」でもありました。
現代は、答えがすぐに手に入る時代です。しかし、落合信彦さんは常に「安易な答え」を拒み続けました。読者に委ね、考えさせ、疑問を残す。その姿勢は、今の時代だからこそ、より価値を増しているように思います。
知らなかった一冊──『予言された世界』
今回の訃報をきっかけに、私は初めて『予言された世界』という書籍の存在を知りました。
2022年に刊行されたこの本は、落合信彦さんと長男である落合陽一氏による、初の対談本です。
正直に言えば、「なぜ今まで知らなかったのだろう」と、少し悔しくなりました。それほどまでに、この一冊は象徴的です。
父は20世紀から21世紀をまたぎ、世界の裏側を見続けてきたジャーナリスト。息子はテクノロジーと思想を武器に、未来を語る研究者。異なる時代、異なる立ち位置から世界を見てきた二人が、同じテーブルにつく。その事実だけで、読む価値があると断言できます。
まだ手元にはありませんが、すでに購入しました。到着待ちです。書籍でどうしても読みたいから・・・・落合信彦さんの「最後の言葉」に近い思考に触れられるかもしれない。その期待と同時に、少しの寂しさも感じています。
時代を超えて残る言葉の重み
落合信彦さんが残したものは、単なる書籍の数ではありません。
「疑え」「考えろ」「自分の頭で判断しろ」。そのメッセージは、彼のすべての著作を貫いています。
情報が洪水のように押し寄せ、思考停止が最も楽な選択肢になっている現代において、この姿勢は決して古びていません。むしろ、今後ますます必要とされる価値観でしょう。
落合信彦さんは亡くなりました。しかし、彼の問いは生き続けます。本を開くたびに、彼は私たちに問いかけてくるのです。「それは本当に事実なのか?」と。
まとめ
落合信彦さんの死は、ひとつの時代の終わりであり、同時に問いを引き継ぐ時代の始まりでもあります。
彼が遺した膨大な言葉と視点は、これからも多くの読者を揺さぶり、考えさせ、世界の見え方を変えていくでしょう。
心からの敬意と感謝を込めて──。 あなたの言葉に出会えたことは、私の人生において間違いなく財産でした。
どうか安らかに。 そして、ありがとうございました。
























